PIPCO

僕が勝手に心の師匠と敬愛している方々の中のお一人、
ヤギヤスオさん。
イラストレーター、グラフィックデザイナー、フォトグラファー、
そして文筆家、ミュージシャンとしてなどなど、
真の意味でマルチなスーパーアーティスト。
ジャケットのデザインでは細野晴臣さんの『泰安洋行

泰安洋行(紙ジャケット仕様)

泰安洋行(紙ジャケット仕様)

『トロピカルダンディ』が最も有名でしょう。
トロピカルダンディー(紙ジャケット仕様)

トロピカルダンディー(紙ジャケット仕様)

じゃがたら/JAGATARAの一連の作品も。
南蛮渡来(紙ジャケット仕様)

南蛮渡来(紙ジャケット仕様)

家族百景(紙ジャケット仕様)

家族百景(紙ジャケット仕様)

レコードジャケット以外でも、書籍の装丁(岡崎京子さんの単行本など)や
雑誌の表紙、記事、広告といったグラフィックデザインなどなど、
その膨大な量のお仕事は、音楽やサブカルチャーに興味がある人なら、
必ず一度は目にしたことがあるはず。

そのヤギヤスオさんの生前遺作展(!?)と銘打たれた個展
i was what i am」が
青山ビリケン商会のギャラリーで行われました。
その最終日、4月18(日)に行ってきました。

最終日の日曜日とあって大盛況。音楽ライターの遠藤妙子さんや
映画監督の山本政志氏など、見知った顔もちらほらと。

前述の『泰安洋行』の装丁の指定紙の実物や素材の写真、イラスト原画の展示を筆頭に、
木の板に画かれた「レゲ絵」シリーズやジャケット作品のイラストの原画など
壁に展示されているだけでなく、他にも大量の作品がファイルに収められ、
見応えありすぎ。


作品のファイルを見ながら「80年代って感じだよね〜」と感想を洩らす
来客の女性二人組の会話を耳にしたけど、
ヤギさんが80年代当時、その時期の流行を意識したのではなく、
ヤギさん自身が80年代のポップアートを創り出し、
その模倣が溢れたというのが正しいと、今回、あらためて感じた。
しかも、80年代や90年代のお仕事が今もまったく輝きを失わない力を持っている。
ヤギさんのタイポグラフィ/レタリングの素晴らしさも、今回、再認識した点でした。


僕は70年代末、音楽雑誌のPlayerでヤギさんが連載していた
『PIPCO'S』というコラムや記事を
舐めまわすように何度も読み返し、その影響により、
自分の音楽観のかなりの部分が形成されました。
フランク・ザッパキャプテン・ビーフハート、ヘンリー・カウ、
レジデンツペンギン・カフェ・オーケストラなどなど、枚挙に暇がないとはこのこと。
後には突然段ボールやPUNGOなどの存在もヤギさんが誌面で紹介していたことで知り、
実際に彼らにアプローチし、関わることとなるきっかけとなりました。

ヤギさんご自身とは、80年代初めに通い詰め、色んな人と出会った
新宿ゴールデン街にあった伝説のバー、ハバナムーンでお会いしたのか、
ヤギさんがやってらっしゃったバンド、その名もPIPCO'Sのライヴ会場で
お話しさせてもらったか、記憶は定かではないですが、
この日、個展の会場にいらしたヤギさんにお久しぶりにお会いしたところ、
朧気ながら、なんとなくは覚えてはいただいてた様子。
持参したヤギさんの著書、るつぼな下北沢日記

るつぼな下北沢日記

るつぼな下北沢日記

にサインをしていただき、感無量でした。


で、くだんのPIPCO'Sというヤギさんの連載コラムのタイトルやバンド名は
フランク・ザッパの『Lumpy Gravy』

Lumpy Gravy

Lumpy Gravy

のジャケットで
ザッパが着ているTシャツのロゴに由来しているのですが、
これはニュージャージーだかサンタ・バーバラだかにあった
パイプの会社の野球チームのユニフォームなんだそうですね。

これについての由来を調べてたら、世の中、色んなものがあるもんで、
様々なロックスターが実際に着ていたTシャツを復刻してるショップがアメリカにあり、
まんまとこのTシャツも復刻されており、矢も楯もたまらず注文してしまいました。
今年の夏の僕の勝負TシャツはPIPCOということで!