JM徹底改造

興味が無い人には申し訳ない、ギター蘊蓄話。

以前にも書いたように、僕はフェンダージャズマスター
30年近くメインで使っているのですが、
メンバーが新しくなったswaragaの新しい曲では、
どうしても、より広いダイナミクスが欲しく、
また、より正確なピッチも必要だったりして、
ジャズマスターの弱点が気になってしょうがなくなってしまいました。

やむを得ず、パーカーというモダンなギターを
試験的にスタジオで使っていたんですが、
やはり手に慣れたジャズマスターの感触が恋しい…。


そんな想いの中、5月の始め、
Discharming manのライヴを観た際、
ギタリストとして参加しているbloodthirsty butchersのヨーちゃんの
ジャズマスタートレモロ・アームが生み出す揺らぎに、
あらためてハートを鷲掴みにされ、揺り動かされてしまい、
“こうなったら、ジャズマスターを徹底改造するしかねぇ!”と
一念発起…、まぁ、その前から部品を集めたり、着々と準備は進めてたんですがね。


改造したのは、15年ほど前に手に入れた1964年製のもの。
これまでも散々試行錯誤したんですが、
新しく手に入れたもののほうが気に入って、しばらく使っていませんでした。
最近のほんとのメインは、↓の1966年製

だったのですが、元デイヴィッド・バーン所有ということもあったりして、
手を加えるのをためらってしまい、
↓を、パーツほぼ全取っ替えすることに。


で、ようやく改造用パーツが手元に揃い、
高田馬場TONES 佐藤さんにモディファイを依頼し、
先日、ついに仕上がり、本日スタジオで本格的に音を出してきました。

まずペグはゴトーSDS510マグナム・ロックに交換。

日本のギター研究の第一人者、關野さん考案のマグナム・ロックは
ペグを回していくだけで弦が自然にロックされるという便利なものですが、
SDS510は、オリジナルより緻密なギア比だけでなく、
アーミングやチョーキング時にも軸がぶれないストリング・ポストなどなど
現代の製品ならではの高性能を備え、それに期待してチョイスしました。
せっかくだから、エクセレント・ゴールド仕上げ&パール柄のツマミをオーダー。


続いてピックアップ、これが今回の改造プランの主眼で、猛烈に悩みました。
とにかくノイズ、ハウリングを抑えたい!
でもアクティヴは音が好きなピックアップがないし、
ボディを削ってハムバッカーを載せたりしたくはないし…。
で、辿り着いたのがLace Music Products Alumitone Aluma 90


この独創的なピックアップ、内部に一般的なピックアップのような
銅線をぐるぐる巻いたコイルが無い!


アルミニウムとマグネットで構成されたコの字型のプレートの裏側は
黒いテープで巻かれた小さな部品のみで、スッカスカ。
でも、これで適度なパワーと、
見た目からは想像できないほどオーセンティックなギターのトーンが
生み出されるから不思議。
Aluma 90は、本来はP-90ピックアップのリプレイスメント用だけど、
P-90とはちょっとキャラクターが違って、もっとブライトで、
ジャズマスター用としては狙い通りのサウンドでした。
そして、パッシヴなのにノイズが無い! ハウらない!
この点だけでも、交換した価値は充分にありました。
しかも厚みが薄いので、ボディをザグらなくても、
マウント用ネジ穴を2つ開けるだけで取り付けられる。
これもこのピックアップを選んだ理由でした。
敢えてゴールドを選んだのですが、ルックスも意外とマッチしたのではと、
満足度はかなり高かったです。


そして、ついでといってはなんだけど、
ブリッジも交換してしまおう!
少し前からジャズマスター・ファンの間で噂になっていた
Mastery Bridge


WilcoSonic Youth、そしてTom Verlaine
更にはBill Frisellまで愛用者リストに名を連ね、
こりゃジャズマスター道を追求するなら、載せるしかないな…と。
ネットでザックリ調べても、日本ではまだ使用レポートが見あたらなかったので、
これが初かな?


TONES佐藤さんに作業を委ねてしまったので、
その交換工程は目にしてないのですが、
ブリッジのフローティングをロックしてしまうことで
この部分での弦振動のロスを抑え、
ブリッジ本体がズレてしまうトラブルを解消、
でも、弦がサドルにピンポイントのみで接触しているので、
アームを使っても弦が引っかかってチューニングが狂ったりすることもなく、
更には6、5,4弦と3、2,1弦が1つのサドルに乗っかるという構造で、
ジャズマスターのブリッジでありがちな弦ズレやバズは皆無。
作業は少し面倒だけど、きっちりしたオクターブ・チューニングも可能。
ギター本体側に手を加えることなく載せ替えることができ、
見た目の違和感も少なく、非常によく考えられたデザインです。


音のキャラクターは変わりました。
ジャズマスター特有の立ち上がりの極端なアタック感は抑えられ、
その代わり、若干メタリックな響きが加わる印象で、
サステインは明らかに向上している感触でした。
僕はやったことはないのですが、ブリッジをT.O.M.に改造すると
こんな感じになるのかな?と想像するような変化かと思います。
いずれにしても、僕にとっては好ましい変化でした。
送料込みで$173.の価値はある!…とは言い切れませんが、
どう調整しても、オリジナルのブリッジには不満が…という人には、
T.O.M.改造のリペア料金を鑑みると、ベターな選択肢だと思います。


この他、ボリューム・ノブを連続して押すと
パ・パ・パ・パってな具合に音が途切れる
スイッチング・ミュート奏法が可能な
Shadow Electronics SH 124 Kill Potという飛び道具まで、
この機にとばかりに載せたりと、
想い描いていた改造をテンコ盛りにやってしまいました。
(それに先駆けて、Sleek Eliteにて、Plekを施してもらったのですが、
 これも素晴らしい!)

こんな改造を面白がってやっていただき、
その他の不具合まで調整していただいたTONES佐藤さんに大感謝です!
ありがとうございました!